レビュー: The Art and Making of Star Wars: The Old Republic

この本は主にキャラクターデザイン、背景画、そしていくつかの宇宙船のデザインから成る。同時にいかにこれだけ巨大なゲームが作られていったかを克明に記したメイキング本でもある。私はこういった洞察力に満ちた制作秘話を読むのが好きだ。それぞれのアートワークにも解説がついている。

内容はもちろんスターウォーズのSFアート。キャラクターデザインを見ていると、いくつかの鎧やヘルメットのデザインは見るからにスターウォーズといった感じ。時には少し風変わりなものもある。8種類のキャラクタークラスそれぞれの服装や武器を見ることができる。動物や宇宙船のデザインもあるにはあるが数は多くない。

この本の主要なポイントはたくさんの惑星それぞれの背景画だ。とても美しくどんな場所なのか分かりやすい。ただし、実際のゲーム上でこれらの場所をキャラクターが実際に走ったりすることができるのかどうかは不明だ。

この本の欠点はそのレイアウトだ。ページの至る所に空白のスペースがあり、本来ならもっとたくさんのアートワークが収録できた筈だ。文章がかなりの容量を占めているがこれらの話はとても興味深いのでまだよしとする。MMORPGの本としてはもう少しキャラクターの絵を見たかったところだ。決して数が少ないわけではないのだが、どういうわけか私にはこのスターウォーズの世界は人が少なくて閑散としている印象だ。同じくゲームのアートブックである『The Art and Making of Star Wars: The Force Unleashed』と比べるとあらゆる面で見劣りしてしまうのが正直なところだ。

本編のゲームStar Wars: The Old Republicのウェブサイトには160点以上ものアートワークが展示されていた。それらのアートワークの幾つもがこの本には収録されていない物だ。たぶんそれがこの本の印象を軽いものにしている理由のうちのひとつだろう。宇宙船などのデザインは本の中にも収録されているが小さく印刷されていて細かな部分が潰れて見えなくなってしまっている。ウェブサイトからアートワークをダウンロードしたほうがほとんどの場合が本よりもハイクオリティだ。

この本は寄せ集め感があることは否めない。本文の解説などは良いがレイアウトがまったく駄目だし、収録されているアートワークも不完全だ。

ハードカバー: 160ページ
出版社: Chronicle Books
言語: 英語
ISBN-10: 0811875008
ISBN-13: 978-0811875004