レビュー: The Art of Naughty Dog

すばらしい回顧録的アートブック

ノーティードッグについては、僕は『アンチャーテッド』で初めて知った。この本を通して、僕は彼らが既に30年もゲーム業界に存在していることを知った。

『The Art of Naughty Dog』は、このスタジオの創設期まで遡った秀逸な回顧録的アートブックである。創立は1984年で、1989年にノーティードッグと改名するまで、はじめはJAMソフトウェアという名前だった。

184ページのハードカバーで、これまでに製作されたゲームのコンセプトがふんだんに収載されている。コンセプトとはキャラクターデザインや舞台美術で、たとえば初期のゲームである『クラッシュ・バンディクー』や『ジャック×ダクスター』など、その多くが初めて公開されるものである。そして、『アンチャーテッド』や『ラスト・オブ・アス』などの大人気ゲームのアートワークも載っている。

この本の冒頭は、1984年から1996年の黎明期、アンディ·ギャビン（Andy Gabin）とジェイソン·ルービン（Jason Rubin）がどのようにして会社を創立したかを振り返るところからはじまる。創立者である彼らは、ゲーム製作についての体験、信条、そして最終的に会社を離れた経緯について書いている。会社をはじめた時は、彼らはAppleⅡのゲームを製作していただけだった。

次の章は、『クラッシュ・バンディクー』時代の1996年から1999年を取り上げている。この時期に、『クラッシュ・バンディクー』3作と、『クラッシュ・バンディクー　レーシング』が製作された。僕は以前そのレーシングゲームをやったことがあるが、それがノーティードッグによるものだとは知らなかった。それだけではなくて、まさか前に『クラッシュ・バンディクー』が3作出ていたなんて。知らなかったけど、今他のゲームを見られてとても嬉しい。

『クラッシュ・バンディクー』後、ノーティードッグは『ジャック×ダクスター』の製作に入る。2001年から2005年のことである。それまでのマンガっぽいキャラクターから、より実写的な大人のキャラクターへシフトしたことが見てとれるレーシングゲームである。すばらしいキャラクターデザインがたくさん収録されている。

2007年から現在にかけては、『アンチャーテッド』シリーズと『ラスト・オブ・アス』がある。54ページなので、それらのゲームのアートブックである『The Art of Uncharted 2』や『The Art of Last of Us』と比べると、完全版とは言えない。でも、僕にとっては、これらのゲームのアートワークがノーティードッグの最もすばらしいアートワークであり、もし他のアートブックを持っていなければ買いたくなるに違いないと思う。彼らは贅沢な舞台美術に力を入れており、それは『クラッシュ・バンディクー』を踏襲したものである。

その次の章では、未発売のゲームのアートワークを集めている。『ジャック×ダクスター4』と、タイトルのないSFゲームである。そして、『アンチャーテッド4』の舞台美術の冷やかしに6ページを割いている。

最後の章は、ファンによって描かれたアートをフィーチャーしている。そのうちのいくつかはとてもよく描かれていて、ページたち落としと見開きで大きく載せられているスプラッシュアートはとりわけよかった。ファンが自分たちの手法でどのようにゲームを解釈しているかを見られるのはとても楽しい。

この本のマイナス面について？敢えて言うなら、僕はもっとゲームについての解説を読みたかった。それぞれの章のテキストはたった2ページ分である。ただ、図版のキャプションは充実している。求めすぎなのかもしれないが、30年の歴史がある会社なのだから、もっと書くことがあるはずなのに、と思う。

新しいノーティードッグのファンとしては、彼らの歴史を読めるのは興味深かったし、『アンチャーテッド』以前の初期のゲームのアートワークを見られたのもよかった。

全体的に見ると、この本はノーティードッグのファンには確実に良本といえる。アートがすばらしい。

しかし、もし『クラッシュ・バンディクー』や『ジャック×ダクスター』に興味がないなら、『アンチャーテッド』や『ラスト・オブ・アス』のアートブックを買うのがよいかもしれない。『The Art of Uncharted Trilogy』は2015年に出版予定で、240ページもの分厚い本である。だから僕もたくさんアートが見られることを期待している。

ハードカバー: 184ページ
出版社: Dark Horse Books (2014)
言語: 英語
ISBN-10: 1616554770
ISBN-13: 978-1616554774

The Art of Naughty Dog - 02